三本立ては本当に旨いのか?

「挽きたて」「打ち立て」[茹でたて]の三つを称して蕎麦を一番美味しく食べられる条件を「三本立て」という。
・まずは挽き立てから検証していこう。
蕎麦は挽いた蕎麦から、酸化が始まる。挽くことによって表面積が増えるのでだから、酸化は急速に進み、味や香りが落ちていく。店で打つ前に挽くのが良さそうだ。
きちんとした製粉技術と知識を持った蕎麦店が、きちんとした石臼や道具を使って製粉した蕎麦粉は、確かに素晴らしい。だが製粉技術は、極めて高度である。生半可な技術で挽けば、玄ソバがいくら良くても、粉にした段階で台無しになってしまう。
粉の質もなかなか一定には保てない。安定した品質という点では、間違いなく製粉会社に軍配が上がる。事実、粉に関しては、製粉会社に任せたほうが旨い蕎麦ができると断言している老舗蕎麦店もある。
・打ち立てに関しても、諸説がある。打ってすぐよりも一〜二時間寝かせたほうが、蕎麦が馴染んで旨いというのだ。一〜二時間では、香りは飛ばない。しかし、
打ち方が悪い蕎麦だと、すぐに乾燥が始まる。どうも、旨く食べたい客側の立場よりも店側の事情もあるようだ。本当に旨い蕎麦を食べさせたいと思っている蕎麦店なら、その日自分が打った蕎麦が、一番良い状態を見計らって出すはずだ。一概に打ち立てが一番旨いとは言えないのだ。
・茹で立ては、是これは美味しい絶対条件。伸びた蕎麦ほど興ざめする事は無い。こんな単純明快なことなのに、名店といわれる店でも、伸びきった蕎麦を出す所がある。そういう店には二度と足を踏み入れるべきではない。
評判が高まると得てして、蕎麦がまずくなる。三立ては必ずしも蕎麦の美味しさの絶対条件ではない。それよりも本当に旨い蕎麦を食べさせようと日々奮闘している蕎麦店を見つけること。そして常連になる。これこそが旨い蕎麦をたべる一番の方法だ。